チェコ国立基礎芸術学校
チェコ国立基礎芸術学校,通称ZUŠ(ズシュ)は5歳から18歳までの子供たちが芸術を学ぶ場です。
音楽の他にバレエ、図工、規模の大きい学校では演劇科もあります。
チェコの教育機関は音楽だけにとどまらず、90%が国立です。
10%ぐらいは私立も存在します。
基礎芸術”学校”
なので簡単な入学試験があります。
地域にもよりますが、なにせ国で運営していて授業料も破格(日本から見たらほぼタダ!)
なので毎年応募が殺到します。
楽器によっては何年も空きがないなんてこともざらです。
狭き門なんです。
1段階と2段階に分かれ、1段階は5歳から14歳、2段階は15歳から18歳まで。
ピアノ科は、5歳から入学した子供は始めの2年間は”プレ”のような期間で楽譜はほぼ使いません。
6歳になってやっと楽譜を使い始めます。
カラフルな絵を使って音符の長さ、音の高さ、リズムなど基礎的なことを学びます。

小1の生徒のレッスン中
日本では3歳ぐらいの子供にいきなり楽譜から入るのでビックリしました。
逆にチェコにいたときは、こんなにゆったりで大丈夫なのか?とも思いましたが・・。
始めのうちはとにかくテクニックなんかより”良い音”を聞く耳を育てることが最重視なのです。
小さいころからきれいな音を出すことに時間をかけます。
主科の他に必修で音楽理論、3年生から室内楽が必修です。
ヨーロッパにいて感じたのは、アンサンブルを非常に重視していることです。
生徒たちの発表の場もとても多くありました。
私の勤務していた学校では年に2回、各先生ごとに教室の発表会、
3ヶ月に1回”音楽の夜”と題したコンサート、
クリスマスコンサートは目の前にある世界遺産のお城!!で行いました。
でもお城なのでとにかく寒い!!!
それも今ではとてもいい思い出です。
1段階と2段階の終わりには卒業コンサートもあります。
1年の終わりの6月には進級試験もあり、生徒たちは成績表をもらいます。
3年に1度は各楽器ともチェコ全土で行われるコンクールがあります。
学校予選、地区予選、県大会、全国大会、最終はEU全体、となかなか規模の大きいコンクールです。
私も自分の生徒が2人、県大会に進んだときは本当に誇らしかった!
管楽器、弦楽器、打楽器の伴奏でもたくさんの生徒達と演奏する機会に恵まれました。
その他にも保育園児を対象にした”教育コンサート”やチェコ全土で行われるオープンキャンパス等、
とにかく生徒たちが人前で演奏できるチャンスがとても多いです。
ちょっと曲が仕上がったら”はい、コンサートで弾こう!”
そんな感じです。

日本にいるとコンサート=お金がかかる
年に1度できればいいほうだと思います。
せっかく頑張って練習したのだから、発表の場が多いことはとてもいいことだと思います。
チェコ勤務1年目でいい意味でのカルチャーショックでした。
日本は環境が全く違うし、国自体が音楽をやる基盤になっていないので
ヨーロッパと比べることはできませんが、
生徒さんにはなるべく発表の場を作ってあげたいと思います。
人前で演奏することは周りの人も自分も成長させてくれます。